バンドマンの皆様、日々の練習お疲れ様です。
どのバンドでも、ボーカルに専念してる人は多いと思います。
その中で「楽器が何も弾けない」人もよく見かけます。弾かない、ではなく、弾けない、です。
正直言ってこのような人とバンドを組んで抱く感想は、99%の確率で「お前バンドやめちまえ」です。
何がダメなのか
最初に断っておきますが「ボーカルは楽器弾きながら歌うべき」なんてことは書いてませんからね。
それは好みやバンドの方向性で変わるものです。
むしろボーカルは歌に専念してほしいし、自分もそうありたいと思ってる派です。
では楽器が弾けないボーカルの何がダメなのか。僕の20年にわたるバンド人生の経験から考えていきます。
基礎がない
ボーカルになる人の多くは、カラオケで「歌、上手だね~!」と褒められた経験があります。本人はそれでいい気になっちゃって、バンドでもボーカルやれると思っちゃうんですよね。
でも誰から褒められたんでしょう?音楽経験のある人から褒められたならまあ自信を持って良いでしょうけど(それでも社交辞令の可能性もある)。でも一般人の「上手い」はあてになりません。
いざバンドで合わせてみると、実はピッチ(音程)が悪い、リズム感がない、声量がない、なんて人がゴロゴロいます。それ自体は練習していくことで改善できるので大した問題ではありません。
本当の問題点は「自分のミスに気付けない」ことです。
楽器経験がある人なら、「あぁここはちょっとフラットしたな」とか「ジャストで歌えなかったな」と気付くこともできます。
ですがそもそも間違いに気付けないのでは向上のしようがありません。
もちろん、楽器が弾けなくても自分で気付いて修正できる人はいます。そういう人は是非バンド続けていってほしいです。ボーカル一本でやっていく才能があると思います。
なので基礎的な音程だとかリズム感を養うために最低限一つは楽器を覚えてほしいですね。
個人的にはピアノかキーボードをおすすめします。自分の頭の中で流れてるメロディーをきちんと音符として把握することも大事なので。ついでに楽譜も書けるようになれば最高ですね。
ギターはどうなの?って話ですが、まあナシではないですが最初はきちんと調整できる人に頼ったほうが無難でしょう。構造上どうしても音程が不安定になりやすい楽器ですからねぇ。
でもギターなどの弦楽器はピアノにはできない微妙な音程を表現することができるのでもっと細かい表現を目指すためにも触っといたほうが良いとも言えます。
ま、悩んだらとりあえず安いキーボードを一台買っとけばいいです。
練習方法を知らない
歌が上手くなるにはとりあえずカラオケでも行ってガンガン歌っとけばいいと思ってる人がほとんどです。これは半分正解で、半分不正解です。
確かにガンガン歌えば喉は強くなるでしょうし、体で覚えてくるものもあるでしょう。
ですが練習方法としては効率が悪いのでは?と思います。
たとえば楽器の初心者は、最初の1小節さえ弾くのが困難で何時間も何日も同じ一小節を練習し続けます。これと同じ練習をやってるボーカルの人ってどれくらいいるのでしょう?
とりあえず歌詞さえ間違わなければまあ歌えるから大丈夫、くらいに考えてる人が多いのでは?
なまじ上手に歌えるだけに細かい部分をおろそかにしがちな傾向があります。
心構えとしては「少しでも音程やリズムがズレたらそれはもうミス」くらい自分に厳しくあるべきです。
楽器隊の人はミスした部分をどうします?間違えないように再び練習しますよね。
じゃあどうやって練習します?ハイ、そこだけを繰り返してひたすら反復練習でーす!
メトロノームを使ったり、アプリでABリピート(曲の指定した部分をずっと繰り返す機能)を使って納得のいくまで練習します。
録音して客観的に聴いてみて恥ずかしくない程度まで弾けるようになって初めて次のステップに行けます。
こういった練習方法も楽器経験のない人だとなかなか実行しません(思いつきません)。楽器できないけどそれくらいのことやってるよ!って人は本当に才能あると思います。
よく考えたら人間の喉ってギターやピアノと違って「ここを押さえたらこの音が出る」っていうものがないですよね。ボーカルは全部感覚で演奏する楽器です。バイオリンやフレットレスギターに近いものがあると思うんです。そんな楽器が細かい練習なしで上達できるでしょうか?
そもそもやる気がない
楽器を弾かない理由を聞くと、だいたいが「自分、不器用ですから…」と昭和チックな返事が返ってきます。
いやいや、みんな最初は不器用ですから。そこを乗り越えてますから。
最低限の労力で一番目立つポジションにいたい。ちょっと甘えてませんかねえ。
世の中のボーカルさんは大半が超努力してるし、すっごい苦労してますよ。はっきり言ってバンドで一番大変なパートです。
一番注目を浴びるということは、一番努力しないといけないってことです。
自分のパフォーマンス向上のために楽器の一つも覚える気がないって人は、それこそやめちまえって思いますね。
なんかもう個人的な恨みになってきてますが(笑)、周囲にそんなボーカルがあまりにも多いんですもの。ボヤきたくもなりますよ。
こんなボーカルは楽器できなくてもOK!
逆に、あなたはボーカルさえしてくれたら何の文句もありません!っていう人もいます。
唯一無二の、誰もマネできない何かを持っている人です。
そこに立っているだけで場を支配できる存在感だとか、圧倒的なパフォーマンスができる人だとか、なぜか鼻歌だけですごい曲を書けるとか。
要約すると、「なんかよくわからんけどすごい人」です。
ですがそんな人はごくまれです。それこそ99%は凡人で、みんな努力で伸びていきます。
あなた、もしくはあなたのバンドのボーカルが当てはまるかどうかは実際にライブをやってみて周囲の反応を見るのが一番でしょう。
本当にすごかったらライブハウスからオファーが来ますし他のバンドからも対バンやってくれ!って声がかかるでしょう。まあお客さんの反応を観察すれば一目瞭然ですけどね。
そんなすごい才能のある人でも、楽器は覚えといて損はないですけどね。楽器に触るだけで潰れるような才能なんて才能じゃないし。
ボーカル側の言い分
とはいえ、ボーカルの人としても異論があるでしょう。重複する部分もありますが改めて考えていきます。
楽器なんて弾けないから、ヘタだから
みんな最初はそうなんです。ヘタなんです。指が短いってのも言い訳。指の短いプロなんてゴマンといます。指の短さを測ってギネスに認められたらその意見は受け入れます。
誰かにヘタとバカにされて、そこで落ちるようでは先がありません。
いやそもそも誰かに楽器の腕を披露するためじゃなくって自分の歌を向上させるために触るだけなので上手い下手は全く関係ありませんね。
なので向いてる向いてないなんて全然関係ないです。
お金がないから
これは切実な問題ですね…。
お金がないなら仕方ありません。
でも最近じゃギターもキーボードも初心者用でしたら5000円ちょっとで買えますよ?
中古を探せばもっと安くで見つかるかもしれないです。
弦楽器の人たちは弦交換のお金だけでそれくらいすぐ飛んでいく金額ですけどね。
それくらいの金額も出せないんだったら今後どうやってバンド活動していくんですかね…。
まあ初心者はなるべく良いものを買いたいという気持ちもあるんでしょうけど、そんなこと言ってたらいつまでたっても買う機会なんて訪れない予感がしちゃうのですよ。
バンドメンバーに借りるとか、入手する方法はそこら中に転がってそうな気がしますけどねぇ。
披露する予定がない
これはモチベーションという意味ではかなりキツいですよね。「どうせ誰にも聴かせるわけでもないし、まあいいや」ってなっちゃいます。
それでも先を見据えて、いつ「楽器を弾きながら歌ってほしい」という要望がくるかわからないので、とりあえず練習は続けてる!という人もいます。
ライブが決まって、楽器弾かないといけない!でも経験ゼロ!という場合、だいたい間に合わずヘッポコリンな演奏になります。
ちょっと話がずれました。先程も書きましたが全ては自分の歌を向上させるために必要と割り切れば多少はやる気も出るのでないでしょうか。
その先に「気付けば人前で演奏できる腕になっていた」となれば最高ですよね。
楽器じゃなくて歌を歌いたいんだ!
これは前向きな理由でとても良いと思います。楽器を練習する時間があるなら歌を練習するんだ!っていう強い意志を感じます。
こんな人はバンドじゃなくて歌い手が向いてそうです。バンドである必要性はあまりないように思えます。
行き詰まったら楽器を始めてみるという選択肢もありますよ。
楽器隊からの意見
やはり楽器隊からしてみたら、ボーカルの意見が欲しいです。その時に具体的な意見だと助かります。
「なんか、歌いにくい」って言われてもちょっと困ります。だいぶ困ります。
そんな時、ボーカルに楽器経験があると「そこのベースライン、ちょっと変えてみない?歌と噛み合ってない気がする」「あそこの和音の響きが明るすぎて歌いにくい」みたいな事がボーカルは言えるようになるわけですよね。
楽器に詳しくなればなるほど、バンドメンバーとのコミニュケーションがスムーズになります。スタジオで余計な時間を取られずに済むわけです。
まあボーカルがバンドに一切口出ししないってパターンもありますけど、はたしてそれってバンドなのかな?とも思ったり。
バンドでいちばん大事なのはボーカルなので、そこは自分が歌いやすくなるように各パートにあれこれ注文をつけてほしいとこです。なので各楽器に対する理解もそれなりに必要だと感じます。
というわけで、楽器を弾けないボーカルに対する不満でした。